ゼミに所属すると,論文を読み解いたり,執筆したりする機会が多くなります。

でも・・・

  論文を読んだり,書いたり,自分の研究をわかりやすく紹介するにはどうしたらいいのだろう?

  先輩たちが実際にやっているのを見ても,結局どうしたらいいのかわからない・・・。

などなど,最初はわからないことが多くて戸惑ってしまいますよね。これらの戸惑いや悩みを解消し,学術的形式に慣れてもらうことを主な目的として,プレゼン大会を企画しています。プレゼン大会では,実際に手と頭を使い,「作る」ことを通して論文読解や執筆などに必要なスキルを身に着けます。

論文を読んだり書いたりする前に身につけてほしい能力は,「説得力」,「表現力」,「評価力」の3つ!

「作る」ことで説得力を鍛える!

「説得力が高い」とはどういうこと?

論文では,ある問題に対して自分の主張や答えを示し,その主張や答えが正しいことを「論述」と「データ」を用いて説明しています。大事なことは,「論述」と「データ」があることです。例えば,大学生はもっと勉強すべきだ!という主張があったとしましょう。「なんとなくそう思うから」では説得力がありませんよね。理由が必要です。「知識が豊富であれば様々な視点から物事を捉えることが出来るようになり,大学卒業後の人生を豊かにするからである」などの論拠があると,もっともらしいですね。しかしこれでは説得力はまだ高くありません。「人生を豊かにする」という部分は本当でしょうか?もし,しっかり勉強した大学生と全く勉強しなかった大学生の10年後の収入に大きな差があることや,周りにいる仲間たちの数に大きな差があることを示すデータが示されていると,どうでしょう。さらに説得力が高くなり,主張を受け入れたくなってしまうのではないでしょうか。この例ように,論文では主張があり,その主張を支える「論拠」と「データ」が含まれています。

「論述」と「データ」があれば,説得力の高い,間違っていない主張であるように思えてしまいますよね。しかし,「論述」と「データ」があるからといって,論文に書かれていることがすべて正しいとは限らないのです。データから分かることに限界があるにも関わらず無理な主張をしているかもしれませんよね。例えば,「大学生の90%は毎日読書していたので,最近の大学生は勉強熱心である」と主張する論文があったとします。90%は何を示しているのでしょう?全国の大学生を対象に調査したのでしょうか?もしかしたら,図書館にいる大学生だけを対象にして調査したのかもしれません。もし図書館にいる大学生を対象に調査した結果が90%だとしたら,最近の大学生すべてに共通して言える主張ではなくなりますよね (ここまで雑な主張をする論文はありません。例です)。

このように,論文の中で述べられている主張やその主張を裏付けるデータをチェックして,説得力があるのかどうかを吟味できる能力を卒業までに獲得しなければなりません。したがって,論文を読む時,「主張は正しいのか?」,「根拠として提示されているデータは主張を支持するデータなのか?」など,クリティカルに (説得力があるかどうかをチェックしながら) 読むことが求められます。また,論文を書くときも同様です。自分の主張が正しいことを読み手に納得してもらえるような説得力の高い内容でなければなりません。

説得力が高いプレゼンを作ってみる!

プレゼン大会では何か1つの主張を行ってもらいます。そして,その主張に説得力があるかどうか,参加した学生たち同士でチェックし合います。論文で扱われているような難しい内容でなくて良いのです。何を主張するかは自由。例えば,「20代には○○をすべきである」と思い切った主張をしてもらい,なぜそれを行うことが良いのか,データを使いながら説明を行います。主張の根拠となるデータとして何を示すべきなのか,どのような理由であれば納得してもらうことができるのかなど,「作る」ことを通して,説得力のレベルアップに必要な経験値をここで獲得することができます。ここで鍛えた説得力は,論文を読む時,執筆をする時,研究のデザインや論文の構成を考える時に役立つでしょう。

説得力 = 戦闘力

答えが1つとは限らない曖昧さや不安定さなどの多様性と向き合い続ける空間が,社会であり世界です。必ず全員同じ回答に辿りつける問題ばかりではありません。どの方向に向いて進むことが正しいのか自分で考えなければならない時代ですから,説得力を高めておくことは,卒業後も大いに役立ちます。アイデアを上司から求められた時や対立した相手に理解してもらう時,あなたの話の説得力が大きな決め手となるのです。また,人生の岐路に立った時,なぜその方向に進むことが最善なのか,理由やデータを集めて考えることができるようになると,自信をもって最初の1歩を踏み出すことができることでしょう。

プレゼンを作ることは一見とても大変そうに感じますが,自分の意見やアイデアを作ることに「楽しさ」を感じるはずです。聴く人たちを納得させることができれば,達成感はとても大きいことでしょう。

表現方法を増やそう!

その伝え方は,面白い?わかりやすい?

データを示しながら論理的に主張できるだけでは不十分です。主張を最後まで聴いてもらえるかどうかは,プレゼンの仕方によって決まります。難解な言葉を使っていてはまったく理解してもらえません。いかにわかりやすく伝えるかが重要です。また,原稿を棒読みされるプレゼンより,drasticなストーリー仕立てで伝えてくれるプレゼンの方が興味をもって最後まで聞いてもらえることでしょう。不安そうに伝えるより,自信が伝わってくるようなプレゼンの方が採用されやすいはずです。

斬新で魅力的な表現方法を考えたり,プレゼン時の態度はどのようにすると良いのかの考える際,メディアが参考になります。ある商品がいかに素晴らしいものであるかを伝えるCMやバラエティー番組では,図や映像を上手に取り入れてかりやすく説明していますよね。知識として知っていても実践できなければ意味がありません。実際にやってみて,自分に合う表現方法について考えてみましょう。わかりやすく話すために工夫をするという経験は,自分の研究の紹介だけでなく,就職活動の面接時や将来の就職先でも必ず役立ちます。

評価の幅を広げよう!

いつもと違う場所から眺めてみる

多くの人に納得してもらうことが目的ですから,様々な人から良い評価を受けることができるプレゼンであることが必要です。そこで,プレゼンが終わった後,ゼミ生全員が納得度やプレゼン方法を評価します。評価の軸も多様です。様々な評価を聞くことで,これまでになかった評価軸があったことに気づくことができるでしょう。

評価をしたり,されたりする経験を通して,どのような意見が相手にとって参考になるのか気付くこともあるはずです。多様な評価に触れることで,説得力があると思っていた自分の論文をより客観的に見ることができるようになるでしょう。

仲間たちと「学び」を楽しむ!

成長できる時間を仲間と一緒に作る

プレゼン大会では学年を超えて意見や質問を出し合うので,先輩と後輩たちが自由に話し合います。プレゼンは,学び合いや知識を分かち合う場でもあるので,仲間たちの積極性や面白いプレゼンに刺激を受けて,もっと頑張ろう!と,学びへのモチベーションがさらに高まるのではないかと期待しています。学びは1人でするより,仲間と一緒にする方が楽しい。競い合うこともできるし,一緒に考えて課題を解決することもできる。楽しいと長続きします。長続きすると,成長し続けることができます。1人だけでは途中でやめてしまうかもしれませんが,仲間といると,1人では行き着くことができなかった場所へ到達することができるかもしれません。仲間たちが集うゼミの時間を大切にして,1つ1つ丁寧に取り組んでもらえたらと思います。驚きや感動のある素晴らしいプレゼンを期待しています。