研究スタイルシート

やってみたい研究がある程度まで定まってきたら,以下の5つのポイントをベースにしてさらに考え進めましょう。

 

1.どのような「問い」を立てるのか?

「研究テーマが決まったら」を参照して下さい。「イシューから始めよ」を一読することをおすすめします。

 

2.キーワードは何か? その定義は何か?

関心のある文献を読み続けていると,よく見かける専門用語があるはずです。その専門用語を書き出してみましょう。

例:メタ認知 『「自分の思考や行動」を客観的に把握する』ことができる能力のこと。

 

3.仮説を作る

自分で作った「問い」に対する「答え」を考えてみましょう。

 

4.「仮説」を検証するためには,どのような実験デザインが適切?

考えた仮説が「正しい答え」であるかどうかを科学的に確かめるための実験デザインを考えましょう。

比較する群はいくつ必要なのか?その比較から何がわかるのか?「比べる」ことをベースにして実験デザインを考えて下さい。

「1」で考えた「問い」を上手に定めることができていなければ,ここで手が止まります。

 

 5.「仮説が正しい」のであれば,どのような結果が得られるのか

もし仮説が正しいのであれば,どのような結果が得られるか,図を書いてみましょう。

 

6.実験手続きはどのようにするのか?

実験参加者の募集から,実験を終えてもらうまでの実験手続きについて書いてみましょう。

実験手続きに倫理的な問題はないでしょうか?

 

研究スタイルシートのダウンロード:研究スタイルシート

 

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研究テーマが決まったら:「次の1歩」の踏み出し方

traveler

(photo by faungg’s photo)

イシュー(issue) は何か?:コトバにして知りたいことを深める

どのようなテーマに挑戦するかを決めたら,次に行うことは,『何を明らかにしたいのか』について具体的な言葉で捉え直すことです。具体的な言葉に置き換えることができなければ,次の段階(研究デザインを考える) の時に,一体何を明らかにしたい研究なのか混乱してしまい,前に進めなくなってしまいます。○○心理に関する研究がしたい,○○について調べたい,というだけではまだ不十分。例えば,「授業方法について調べたい」と,漠然とした感じで考えたとします。このままでは研究デザインに乗せることができないので,「授業方法Aと授業方法Bのどちらが子どもにとって理解しやすいのか?」という問いに置き換えます。すると,「理解しやすい」を測るためには,授業前・後でテストをして成績を比較すれば良いとわかります。授業方法の比較で扱う領域についても何にするか(国語,算数,理科,社会,英語のどれを扱うのか)を考えなければならないことにも気づくことができます。また,授業方法の効果について比較するのですから,その他の要因が影響を与えないように計画しなければなりません。授業方法Aは教歴30年のベテラン先生が行い,授業方法Bは若手の先生が行った場合,成績に差を与えた要因が授業方法なのか,経験年数なのかはっきりと主張することができなくなってしまいます。このように,具体的な言葉に直すことによって,自分は一体何が知りたいのか理解を深めることができるだけでなく,研究デザインを考える時に役立つアンカー(碇)となります。どのように言葉で捉え直すか?方法については「研究スタイルシート」を参照して下さい。

 

先行研究を調べることは,地図を作ること

問いを考えることができたとしても,それで終わりではありません。他の研究者たちがすでに同じ問いを立て,答えを出し終えているかもしれません。ここで文献調査が必要となります。書籍や学術論文を調べ,オリジナルな問いであることを確認する必要があります。様々な研究がある中で,自分で考えた研究はどこに位置するのかを知ることが先行研究を知らなければならない理由です。同じような学術研究を見つけてしまったとしてもがっかりすることはありません。その研究方法をヒントにして新たに考えを進めることができます。また,問いを絞り込んでおけば,どの書籍・論文を読むか,読まなくて良いかを区別することができます。このように,文献調査の段階でも,「問いを立てること」が影響してきます。

 

やってみたい研究は実現可能?

注意してほしいことは,理想と現実。問いを決定し,研究デザインを決めることができたとしても,その研究を実現することができるかどうかも考慮しなければなりません。例えば,「家庭内暴力を受けた期間の長さが子どもの自尊心に与える影響」について調べたいと考えたとします。どうやって家庭内暴力が行われている家庭を探すのか,探し出すことができたとしても,断られる可能性があります。また,家庭内暴力にさらされ続けた子どもにどのような質問をすることができるのか,またできないのか,倫理的な問題もあります。さらに,どのような研究であったとしても,児童を対象にすると,親の同意書なども必要となるため,どうしても時間がかかります。

 

仲間と一緒にやってみる

卒業研究の内容を2名程度で共有しておくとお互いにメリットがあります。まず,テーマを同じ領域に設定することで,関連する書籍や学術論文をお互いに補完しあうことができます。実験の実施や論文執筆も協力しあうことができるので,負担を軽減することもできます。一人で黙々とがんばり続けると,時に疲れ果ててしまうことがあります。一緒に頑張る仲間がいると,そのような状況を乗り越えることができるかもしれません。

研究に投資した努力量は就職した後もカタチを変えて輝き続ける

以上のように,行うべきことはたくさんあります。これらを丁寧に考え,心理学研究的な思考力を鍛えておくことで,教育現場で問題に直面したときに,何が背景にあるのかを素早く考えることができるようになります。対応策もより効果的な方法を提案できることでしょう。早い時期から研究について考え抜くことは,後の教員生活をより良く過ごすための良策の1つです。思考力を学生のうちに鍛えておくことで,教員生活の経験を,より質の高い経験として重ねてゆくことができます。研究を頑張る学生さんのご相談にはできる限り応じたいと思っています。事前に連絡を下されば相談の時間を設けますので,積極的に研究室へお越し下さい。お茶とお菓子を準備して歓迎します。

 

科学的に考える:どのような研究デザインにするか

問いに答えることができる研究デザインを考えましょう。ある程度の枠組みは「心理学研究法」としてまとめられています。どのような問いを立てたのか,そして,その問いに答えるためにどのような研究デザインを組んだのか,これらを夏合宿で発表できるように準備することが前期の最大の目標です。12月頃から現在の2年生たちが研究室を決めるために相談をしてくるでしょう。後輩たちが希望をもてるように,モデルとなるように,そして,クールな先輩だと思ってもらえるように,ぜひ頑張ってほしいと思います。

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