研究概要

氏名 岡崎 善弘 ( YOSHIHIRO OKAZAKI )
専門 発達心理学,教育心理学,認知心理学
略歴 2009年04月 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期 (心理学)
2012年03月 同上 修了
2012年04月 東京大学大学院総合文化研究科(日本学術振興会特別研究員PD)
2013年10月 岡山大学大学院教育学研究科 (助教) 
2016年04月 岡山大学大学院教育学研究科 (講師) 
2022年04月 岡山大学学術研究院教育学域 (准教授) 現在に至る 
研究テーマ 1. エビデンス・データを参照する教育実践
2. 教育疫学 & 統計的因果推論(準備中)
3. 認知カウンセリング(準備中)
3. 子どものファンタジー世界の科学的理解

発達するココロを科学する

 ココロはかたちを持たないために,年齢とともにココロがどのように変化・成長しているかを見ることはできません。しかし,ココロのかたちを知る術が全くないわけではありません。構成概念としてココロを捉え直し,データ化することでココロのかたちの様子を推定することはできます。ココロのかたちを知ることができれば,より良い教育を行うことが可能となるでしょう。例えば,子どもの認知的特徴やその発達過程を理解することができれば,どの時期にどのような教育を行うことが最適なのか,教育方法について具体的に考えることができるようになります。ココロのかたちについて,思索を巡らせるのではなく,科学的な方法によって得られたデータに基づいて,少しずつ,そして確実に子どものココロに歩み寄ることを目指しています。

子どものココロを理解するための研究のストラテジー

(1)見つける,(2)わかる,(3)作る,(4)育む

(1) 見つける:
 子どもの認知的特徴を知ることは,どのような教育が良いかを考える上で重要な手がかりとなります。行動の背景でゆらぐココロを測定可能な構成概念として捉え直し,子どものココロを理解・説明しやすくすることが目的です。

(2) わかる:
 子どもの認知的特徴はどのように発達(または,消失)してゆくのか,その発達によってどのようなことが可能になってゆくのか,認知的特徴の時間的な理解と空間的な理解をすることが目的です。

(3) 作る:
 例えば,IT機器。携帯電話ではなくスマートフォンの時代となりました。時代とともに我々の身近にある道具は日々進化しています。テクノロジーの発展と同じように,ココロをとらえるための道具の開発・改善を目的としています。例えば,尺度の開発が該当します。

(4) 育む:
 子どもの認知的特徴を理解することができたのであれば,さらに,その理解が正しいのであれば,その知見を基に子どもたちのココロを育むことが可能となるはずです。研究知見から教育プログラムを作成し,研究成果を教育現場に還元することが目的です。この段階へ到達するまでの時間は膨大で,すぐに実施することはできませんが,「育める」段階にまで研究を日々少しずつ進めたいと思っています。

ゼミ運営のビジョン

 卒業研究を通して,課題解決力とコミュニケーション力を特に高めてほしいと考えています。課題解決力を高めておくことができれば,教育現場で初めて出会う課題に直面したとしても,戦略的かつ論理的に思考し,科学的な考え方に基づいた行動をすることができることでしょう。また,教育現場で課題を解決する際,必ず多くの方々と協力しながら課題の解決にあたるはずです。協力することは,簡単ではありません。良い教育の方法やあり方は1つではなく,時代とともに変化するものなので,たくさんの考え方が社会には存在します。観点の異なる多く方々の意見を聴きながら,現在直面している課題の最適解は何であるかを仲間たちと一緒に考える経験を学生の時に数多く経験し,他者と協力しあえるコミュニケーション力を鍛えておくことが,将来の職場で役立つのではないかと考えています。目的地を共有し,道中のトラップに嵌まったとしても,どのような道具があれば乗り越えることができるのか,目的地へと続くルートは他にあるのか等,みんなでああでもないこうでもないと言いながら,挑戦的課題解決を楽しむゼミにしたいと思っています。

現在取り組んでいる研究

1. 児童・生徒を対象とした時間管理の発達支援
 夏休みや冬休みに宿題をすべて終えることはできたでしょうか?どのような計画を立てていましたか?立てた計画通りに宿題をすることができましたか?時間管理は共通時間を生きる現代人において重要なスキルの1つです。岡崎研究室では,効果的に時間管理スキルを育む方法の提案を最終目標として研究を行っています。

2. 子どものファンタジー世界
 ぬいぐるみお泊り会を通して子どもたちのファンタジー的世界を科学的に理解しようと努めています。もし自分が大切にしているぬいぐるみが動いて絵本を持って帰ってきてくれたら,子どもたちは絵本をよく読むようになるでしょうか?絵本を読むようになったとしたら,その背景にはどのような心理的メカニズムがあるのでしょうか?岡崎研究室では,ファンタジー的要素を利用した効果的な教育方法の提案を目指して研究を行っています。

3. 共感覚が子どもの学習・記憶に与える影響
 数字や文字に性格を感じたり,色を感じたりする共感覚が,子どもの学習や記憶に貢献している可能性について研究しています。