災害復興と心理学

2018年7月。豪雨災害を目の当たりにして,何ができるのか色々と考え続け,復興を目的とした防災教育系の研究を提案しておりましたところ,とてもありがたいことに採択して頂きました。

成果は,日本心理学会第83回大会の日本心理学会企画シンポジウム「災害復興と心理学」にてご報告させて頂きました。

エビデンスと教育をつなぐ

1.“Evidence-based”のはじまり

2016年頃からEBPM(Evidence-based policy making)というワードをよく見聞きするようになりました。右へ行くのか?左へ行くのか?進む道を決める時,経験や勘だけでなくエビデンスも参照した上で決めようとする考え方を意味しています。エビデンスに基づいて政策を考えようとする動向は1970年頃から現れており,1990年頃から強く推されるようになりました。

“Evidence-based”という考え方は医療の領域から始まっています。昔は(権威的な)医者の経験に基づいて治療が決められていて,科学的根拠なんてなかった。例えば,コチラの本(過去の医療がここまで危険だったとは…)。明らかに間違っている治療方法なのですが,当時は「偉い先生が言うのなら間違いないだろう」ということで(疑われることなく)効果がある治療として行われていたのかもですね。

 

2.アンケート結果もエビデンス?

「エビデンス(根拠)」という言葉からイメージされることは個人間で異なるため(?),誤解が生じている部分もあるようです。「エビデンス(根拠)」と聞くと,「楽しかった!等の感想」や「子どもたちの目の輝き」もエビデンスに含まれるように感じてしまうのですが,“Evidence”を学術的に扱っている世界では,もっと限定的な情報をエビデンスとして定義しています。因果関係(信頼性・妥当性)が担保できるデザインで検証された情報がエビデンスであり,データ収集の方法を設計していない街角アンケート等はエビデンスではなく,ファクトやデータとして扱われます(質の低いエビデンスとして認識されることもあります)。

“Evidence”を扱っている世界では,「エビデンス」の意味は世間的なイメージと異なるので,「エビデンス」という言葉を使う時は要注意。「エビデンス」は「情報」だけど,「情報」は「(厳密に定義している)エビデンス」と等価ではないので,「単なるデータ」を「エビデンス」と言ってしまうとエビデンス警察に捕まるとか,捕まらないとか。

 

3.データを集める方法の設計がすべて

エビデンスの質に高・低がある理由は,「因果関係を重視しているから」に尽きます。「因果関係が推定できる」ことが大切なので,データを収集する方法は極めて慎重に設計されます。「(雑な方法で得られた)データはある。統計分析で何かわからないか?」という質問に対して「無理です」とデータサイエンティストに冷たく返答される理由はこのあたりではないでしょうか。どれほど高度な統計分析を施したとしても設計段階で失敗しているのであれば,統計分析しても分かることは多くありません。

 

4.“-based”と“-informed”の違い

「科学的根拠意思決定の判断材料として扱いましょう」ってことを主張していたわけですが,“-based”という表現は,「エビデンス(科学的な根拠)だけを使って意思決定しましょう」という過激な(?)印象を与えてしまった(誤解を招いてしまった)ようです。エビデンス系について勉強し始めた時,全く同じ誤解をしていました。「科学的に実証されている方法だけを実践で使う」ことを意味しているのかな?と思っていた時期がありました。このような誤解を招いてしまった反省から,“-based”ではなく“-informed”という表現が使われるようになったみたいです。

“Evidence-informed”という表現は“-based”をやわらかくした感じです。「経験や勘で意思決定するな!科学的根拠に基づいて考えろ!」(based)ではなくて,「経験や勘も大切だよね。これまでの実践経験の他に,エビデンスも参照して意思決定しない?その方が良いかもよ?」(informed)みたいな感じでしょうか(意訳&誤訳,スミマセン。エビデンス警察に捕まるかしら?)。

エビデンスを強く主張しない,やわらかい印象を与える表現の方が誤解されることなく,浸透しやすいのかもしれないですね。どちらにしても,“-based”なのか“-informed”なのか,専門用語の峻別は重要なことではなさそうです。

 

5.教育政策に“Evidence”がなぜ必要なのか

コチラの記事がとても参考になりました。教育政策はこのようなプロセスで決められていたのか・・・。

“経済財政諮問会議の議事録を読むと、財政、金融、経済政策に関する話題では、それなりにデータに基づく現状分析が行われ、経済学的に見て妥当な議論が行われている。ところが、教育再生に話題が及ぶと、多くの委員が「私の個人的な意見ではあるが」とか「私の友人で、ある学校の校長をしている人の話によると」とか「わが社の例では」などのように、個人的な体験に基づく主観的な議論を展開し始めている。”

「教育の方針を決定する時の根拠が各個人の経験に基づいていること」が望ましくない。莫大な予算を投じて全国レベルで改革をするわけですから,失敗できないし,できるだけ効果最大な方法を選択したいはず。しかし,「効果的な方法である根拠」は「個人の経験」。確かに良くない。絶対に良くない。冒頭で書いた「初期の医療」とまでは言えないけれど,ちょっと危険な印象を持ってしまいます。

 

6.「エビデンスに基づいた教育政策」の「エビデンス」は「データ」?

「エビデンスに基づいた教育政策」も上記の内容と同様です。「意思決定する際,経験や勘だけでなく,エビデンスも参照しよう(エビデンスが無いのなら作ってみよう・検証してみよう)」という考え方が背景にあります。エビデンスが得られている教育方法を一般化・スタンダード化しようとする政策では決してないはず。

教育分野でも「データを扱っている」=「エビデンスに基づいている」という理解になっている傾向があるような,ないような。混乱を招いてしまうのではないかしら?ちょっとだけ心配しています。

 

7.エビデンス・インフォームドな考え方は教育現場に浸透するのか

教育政策レベルだけでなく,教育現場レベルでもエビデンスを活用しているケースが海外で起きているようです。イギリスでは,学校の先生たちが集まって教育系エビデンスの活用やリサーチリテラシーの育成に関するカンファレンスを開いているのだとか。最近読んだ本(What Works Now? Evidence-Informed Policy and Practice)の中でresearchEDが紹介されていました。「教室の実践」と「教育研究」をつなぐことがresearchEDのミッションとのこと。イギリスの教育現場レベルでも,“-based”ではなくて“-informed”な考え方が浸透している模様(「実践知」と「エビデンス」を統合して意思決定することが理想とされている)。

教育現場にエビデンスを浸透させるためには,researchEDのような組織を作ることも良い選択肢だと思うのですが,仕事が忙し過ぎて参加者が集まらない気もします。教員養成段階からリサーチリテラシーを組み込んでおく方が良さそうと思っているところです。推測になるのですが,リサーチリテラシーを教えている教育学部・教職大学院は今のところ無さそうです。

 

8.エビデンス・ベースな考え方に対する誤解・曲解

「科学的根拠に基づいていない教育は間違っている」という過激な主張として誤解されていることが浸透しない大きな原因なのかもしれません。「科学的な根拠に基づいていない教育は間違っている」という主張をしてしまうと,超特大ブーメランになって自分のところへ帰ってくるので,絶対にそのような過激なことは言っていないはず。例えば,大学の授業で「科学的根拠に基づいていない教育は間違っている」と言ってしまうと,「この授業はすべてエビデンスに基づいているのか?」と返されて詰みます。

「科学的な根拠が得られている教育方法をスタンダードにしよう」という考え方も誤解です。子どもの心が置き去りにされているし,どこの学校へ行っても全く同じ授業をしていることになります。

「教育の効果は数値で測れない(測るべきではない)」という主張もよく見聞きします。数値に焦点が集まってしまったら,授業方法がスタンダード化されてしまって,教室から「学びの面白さ・楽しさ(子どもたちの目の輝き)」が失われるのではないかという危惧。可能性はゼロではないけれど,過剰な危険視ではないかなと感じています。

 

9.質の良いデータを活用した教育

教育現場でもPDCAの考え方は広がっているけれど,Check(評価)は偉い人や担当した個人の主観的評価です。偉い人の気分で評価されたり個人的なモノサシで評価するよりも,客観的な方法で評価される方が公平です。さらに,客観的な指標を使って同一軸上で比較する方が,より良いAction(改善)につながりやすい気もします。ただ,個人で評価指標を準備するのは難しいですよね。このあたりは評価指標を自治体レベルで統一しておく方が良さそうです。例えば,埼玉県の学力調査はとても良い事例です。順位(偏差値)からの脱却(項目反応理論を利用)。データ活用の支援。すごいです。

「エビデンスの活用」は学術論文が読める学術的な専門知識が必要だけど,「データの活用」はそこまで求められないので,「データの活用」の方が先に現場に浸透しそうです。

 

10.なぜ「エビデンス」を調べ始めたのか

教育系のエビデンスの話は大きく分けて3つありそうです(個人的な印象です)。

(1)教育政策:EBPM系の話題の1つ

(2)教育現場:エビデンスの活用が主なテーマ

(3)データ活用:学力調査とICT導入の掛け合わせ

調べ始めた当初は(2)の情報を主に集めていました。サンプル数1の経験談ではなくて,現場で使える武器(エビデンスを教育に活用できるスキル)を学生さんたちに提供したくて。調べていると教育政策系も「エビデンス」を扱っていることが分かり,(1)にも手を伸ばしました。資料を読んでいると,「エビデンス」と言うより「データの活用」の話では?と思われる情報に混乱してしまって(3)も調べ始めました。どこへ向かっているのか迷子になりそうです。

 

取り組んでいる方々もそれぞれの領域間で異なっています。

(1)教育政策:政策科学系・経済学系・教育科学系の専門家・地方自治体

(2)教育現場:教育現場の先生・教育関係者

(3)データ活用:評価系・教育工学系の専門家・地方自治体

 

それぞれの話を理解しようと思うと,それぞれ異なる知識が必要です。

(1)教育政策:計量経済学,開発経済学,労働経済学,政策科学,心理学,学習科学

(2)教育現場:エビデンスに基づいた医学(EBM),エビデンスの活用

(3)データ活用:項目反応理論等のテスト理論,ラーニングアナリティクス

関連する本(和書・洋書)を買い漁って少しずつ読み進めている最中です。書籍に投じた金額は過去最高(洋書は高いよ)。調べ始めた1年前に比べたら理解は少し深まった気がするので「良し」としたい。

 

11.エビデンスに基づく実践と政策セミナー

何もわからなかった当時,こちらの研究会が主催するセミナーに初めて参加させて頂き,色々なことを教えてもらいました。エビデンスを扱う様々な領域の専門家が集まる国内唯一の場所です。様々な領域の専門家の話を聞くことができたので大変有意義でした。

教育系のエビデンスがあるところ

What works Clearing House (WWC)

国:アメリカ

機関:Institute of Education Sciences (IES)

背景:NCBL法(2002年)の成立がエビデンスの需要を高めた

   研究内容をわかりやすい言葉で教育関係者に伝える仕組みが必要だった

目的:最も有効な施策・取り組みの情報提供・意思決定を支援する

特徴:エビデンスの質を保証するために厳密な基準で分類される

   最新の研究を迅速にレビューしている(Quick Review)

   利用しやすい実践的なガイドを発表(Practice Guide)

備考:「(信頼の高いエビデンスに基づいて)教育的介入の因果関係が明示されるべきである」という考え方がある(豊, 2011)。WWCのエビデンス基準を満たす施策のみを採用せよということではない。NCLB法はエビデンスに基づいた施策の採用を求めているが,実際にどのような施策を科学的根拠があると判断するかは現場に委ねられており,WWCはあくまで参考情報というのが教育省の立場である(田辺, 2006)。

 

Education Endowment Founding (EEF)

国:イギリス

機関:ロンドン大学(教育研究所)

背景:(1) 社会経済的に不利な子どもの学力不振の解決

   (2) 教育省から教育基金財団(EFF)が1億2500ポンドの出資を受けて設立

目的:(1) 環境的に不利な子どもたちの学力向上の支援

   (2) 教員の専門性の向上(エビデンスの有用性の理解・エビデンスの適用)

特徴:Teaching and Learning Toolkit

   5歳から16歳までの教育に関するエビデンスを要約

   各効果を「費用(資金)・エビデンスの強さ・インパクト」で表示

備考 (1):インパクトはエフェクトサイズを示している
備考 (2):EEF は教員の専門性の向上を活動の指針としている。実際の教育現場で行われる教育研究から得られたエビデンスの有用性を教員が理解し,自ら最適な活用方法を判断した上で,教育現場での実践へ適切に活用することをもって,専門職たる教員が有効にエビデンスを「つかう」ことと位置づけている。そのため,教員に強制的にエビデンスを踏まえた実践を行うよう命令したり,強く指導したりするアプローチは取られておらず,教員の行動変容を促すことが意識されている(三菱UFJ&コンサルティング, 2017)。

 

参考・引用文献

三菱UFJ&コンサルティング (2017). 平成28年度 生涯学習施策に関する調査研究諸外国における
客観的根拠に基づく教育政策の推進に関する状況調査報告書 文部科学省

田辺智子. (2006). エビデンスに基づく教育 日本評価研究, 6 (1), 31-41.

豊 浩子. (2011). 米国のエビデンス仲介機関の機能と課題-米国 WWC 情報センターの例より
(特集 教育研究におけるエビデンス) 国立教育政策研究所紀要, 140, 71-93.

教育にエビデンスを

子どもたちの課題をどうやって解決に導くのか。たくさんの「経験」に基づいて教育方法を選択することは決して間違っているわけではないけれど,科学的な根拠に基づいて考えること「も」できるようになれば,効率的かつ効果的に方法を選択できるようになるのではないかなと思い始めたのは昨年のこと。

 

3月は,「医学系で扱われているEBMや経済学系で扱われているEBPMについて学ぶ時間」と決めていろいろな本を買い込み,読みました。経済計量学という領域があることも分かり,統計学の知識を更新する良い機会となりました。

「真の教育を」「確かな学力を」という文言を教育者が繰り返し使ってしまう理由は,科学的な視点で教育効果を分析・判断するリテラシーを学んでこなかったことが最大の原因ではないでしょうか。教育学部の学生さんたちにEBM・EBPM的な思考方法を武器として持たせてあげられるように準備をすすめているところです。

教師用スクラッチのアカウントの作り方

1.教師用アカウントを申請する

 

・教育者向けScratchを開く

https://scratch.mit.edu/educators#teacher-accounts

・「教師用アカウント」を押す。

・「アカウントの申請」を押す。

・必要事項を記入して送信。

・運営から連絡を待つ。(2~3日で返事が届きました。)

 

 

2.クラスを作成する

・「サインイン」を押して,申請時に登録したユーザー名とパスワードを入力する。

 

・「私のクラス」を押す。

 

・「新しいクラス」を押す。

 

・「クラス名」と「クラスの説明」を入力して,「クラスを追加」を押す。

 

1クラスのフォルダができました!

 

 

3.子どものアカウントを作成する

子どものアカウントは「1人生徒を追加」と「複数の生徒を追加する」から選ぶことができます。

 

(A)子ども1名分のアカウントを作成する

・「1人生徒を追加」の「新しい生徒」を押す。

・ユーザー名を入力したあと,「Add Student」を押す。

 

(B)子どものアカウントを複数・同時に作成する

「生徒用のアカウント作成リンク」と「CSVアップロード」のどちらか1つを選択する。

 

「生徒用のアカウント作成リンク」の場合

・アカウントを個人で作成・設定させる方法です。

・「作成」を押すとURLが発行されるので,URLを子どもたちに提供する。

 

・URLにアクセスさせると,上記のページが表示されるので,

 自分のアカウントの「ユーザー名」と「パスワード」を各自で作成させる。

 

「CSVアップロード」の場合

・子どものアカウントを一括して教員が作成する方法です。

・「CSVアップロード」を押す。

 

・「例をダウンロードする」を押す。

 

・CSVファイルを開いて,「ユーザー名(A列)」と「パスワード(B列)」を入力する。

・今回は2019年の干支で12名分のアカウントを作成しました。

注1:CSVファイルはEXCELで開くことができます

注2:ユーザー名は英数字で6文字以上

注3:各子どものパスワードは後で変更できる

 

・「CSVファイルを選択」して「アップロード」を押す。

 

子どもたちのアカウント(12個)を作ることができました!

 

 

4.子どもたちにログインさせる方法

(1)「1人の生徒を追加」で作成した場合

・ユーザー名とパスワードを入力させる。

・パスワードは教員用アカウント名を入力する。

 

(2)「生徒用のアカウント作成リンク」で作成した場合

・各自で設定させたユーザー名とパスワードを入力させる。

 

(3)「CSVアップロード」で作成した場合

・こちらで作成したユーザーネームとパスワードを入力させる。

 (初日に「ユーザー名」と「パスワード」を各自に配布する必要あり)

・子どもたちがログインに成功すると下図が表示されます。

 

・「アカウント設定」を押すと,パスワードを変更させることができます。

 

5.子どもにアカウントを与えたら最後まで見守る

作品はScratch上でお互いに見せ合うことができます。

また,作品に対してコメントを送ることもできます。

友達から褒められたら自信に繋がるかもしれません。

ただ,一方で,荒れたコメントを送ってしまう可能性はゼロではありません。

アカウントを子どもに渡したのであれば,

その後の様子も(利用を止めるまで)どうか見守ってあげて下さい

どのような作品を作るのか,作品の内容は自由放任でも良いと思うのですが,

子どもたちのコミュニケーションは放置しないよう,ご注意をお願い致します。

理解することをやめない。

子ども対象の企画を開催し続けていることを知って下さる方が増えました。

とてもありがたいです。本当に。本当に。

取り組みを知って下さる方が増えると同時に,「記事,読みましたよ!」「アクティブですね!」と言ってもらえる機会も多くなりました。着任当初,「研究もせずにイベントばかりしてる」とか「研究書籍を買わずにぬいぐるみばっかり買っている」とか(笑),批難され続ける時期があったので,わざわざ声をかけて応援して下さる方の存在が,とっても嬉しくて。

「このお方たち,ひょっとして生き神様ではないだろうか?」と思うような素晴らしい方々にも出会うことができました(特に2017年)。さてさて。本題です。なぜ子ども対象の企画を開催し続けているのか。理由は2つあるんです。

 

1.子どもを知らない発達科学者なんてイヤだ

子どもや育児の実情を知らないのに教育や発達について学生に語っても良いのか。論文や書籍の情報だけで子どもを知っていることにはならない。学術的な視点だけで子どものことを分かった風に言ってはいけないのではないか。着任当初から授業を作る過程でとても苦悩しました。

体験的に理解している方が自信を持って伝えることができるはず。リアリティを持って伝えることができるはず。では,どうすれば良いのか。今から小学校の先生になることは現実的ではないし,どうしたものかと考え続けること数か月。視点を増やせる環境を作ることにしました。

子どもたちが参加してくれる楽しい企画を作って,子どもたちと関わっていけば,時間はかかるかもしれないけれど,少しずつ理解できるかもしれない。もちろん,「子どもたちに喜んでもらうことが絶対最優先の条件」です。企画を開催し続けること数年。やっと理解できるようになりました。

学術的観点ではないところから子どもたちを理解することが少しずつできるようになったかも!?と思えたのは,子どもたちが自発的に協力してプログラミングしている様子を目撃した時でした。協同学習の効果は学術的に知っているのですが,実際の様子を目の当たりにすると,効果を実感することができました。子どもたちの実際の様子を知らないまま研究を続けたら机上の空論を作ってしまいそうだと不安に思っていたけれど,少しだけ不安が和らいできた気がします。

でも,ココジャナイ感はまだ消えない。目指しているところはもっと先にある気がしています。教育現場の声も理解できるようになりたいし,保護者の声や先生たちの声を少しでも深く理解できるようになりたい。

 

2.最新の知見を使った新しい教育に挑戦したい

研究から得られた知見を利用すれば教育はもっと良くなるはず。子どもの未来を少しだけ良くすることができるかもしれない。でも,それを実践する場所がありませんでした。

「無いのであれば自分で作る」。

学生の頃から尊敬している生命科学者の言葉です。最新の研究知見をバックグラウンドにした教育実践は,子どもたちだけでなく,教育に関わることを夢見てがんばっている大学生さんたちにもメリットがあるはず。社会貢献ができて,子どもたちや保護者の方に喜んでもらえて,新しいことを学術的・日常的の観点から学ぶことができる。そんな環境を作りたかった。

色々と企画をしている理由は,子どもの理解の視点を増やしたいだけでなく,子どもたちにより良い環境を提供したいから。後者の方が気持ちとしては大きいです。プログラミング教育に挑戦していた理由もこれです。プログラミングで子どもたちの創造力が育まれる可能性にとても期待を持っています。

気をつけていることは,「善意の押しつけ」になっていないか?ということです。「自分はこれで上手くできたから」「新しいから」という理由だけでオススメするとか絶対にしたくない。だからこそ,効果があったのかどうか,科学的方法を用いて客観的に調べています。検証の視点を持っていると,新しい教育を提供する過程で新しい問題や課題にもいち早く気づくことができます。

 

以上,企画を開催し続けている理由を書いてみました。

「力になりたい」「役に立ちたい」と強く思っても,

実力がなければ関われたとしても逆の結果を招いてしまう場合があります。

現状に満足することなく,もっと上へ行きたいなと思った秋でした。

Youtuberになってみる?

なりたい職業ランキング1位は「Youtuber」。

子どもたちの希望を叶える(?)企画を開催してみました。

 

今回もサイピア様のご協力のもと,開催することができました。

6組の子どもたちが参加。そして,4名の大学生が協力してくれました。

 

ゲーム実況,手品,一発芸等。ジャンルはいろいろあるけれど,

今回は作りやすさ・コストを考慮して,「おもちゃの紹介」をテーマに選んでみました。

ワニワニパニックとか,黒ひげ危機一髪とか,いろいろあったのですが,

人数分のおもちゃを用意するとなるとお金が・・・。

ということで,100円のハンドスピナーになりました(笑)。

すぐ紹介するのは難しいでしょうから,

大学生さんが作ってくれた紹介動画を最初に見てもらうところからスタートしました。

イメージが掴めたら絵コンテの作成に挑戦です。

 

絵コンテを書いて紹介のストーリーを作成。

2人で考えていると色々なアイデアが浮かんだ様子。

「こうしたらいいんじゃない?」

「このセリフを言ったあとに,これ見せる方が良くない?」

楽しそうに絵コンテを作っておりました。

 

撮影したらチェックして,ダメなところを撮り直す。

そんな試行錯誤を自発的に繰り返していたので,驚きでした。

楽しいことや好きなことであれば積極的に考えて工夫する。素晴らしいですよね。

子どもたちの偽りのない姿を見るたびに何かを得ております。

楽しい・好きは強いんだなと改めて感じました。

 

言葉だけで説明するよりも絵を使った方がわかりやすい!

と気づいて,ホワイトボードを引っ張り出してきました。

最後は,それぞれの紹介動画を全員で見ました。

 

面白い動画なのでご紹介したいところですが・・・!

(WEB上の掲載はリスクを伴うのでアップロードはしません)

研究の先のこと

研究室を持たせてもらって5年目を迎えました。

できることは全部する。

帰宅したらカバンを持ちかえてスタバで閉店まで別の仕事したり。

講義資料を早朝4時まで作り続けたり(妥協しない派)。

アイデアをひねり出したくて深夜に散歩し始めたり(笑)。

もう必死に走りました。

 

幾多の失敗を重ねてやっと研究論文になって,

学術雑誌に掲載が決まって喜ぶ!

というサイクルを繰り返していたのだけど,

あれ!?と思いまして。

 

あんなに苦労して論文を書いたのに,

世の中の何かを1つも変えることができてないんです。

今よりもっと良くしたいと思っているのに,

研究成果は世の中にとってプラスになっていないのでは!?

という疑惑と無力感。

 

これでいいのかな?と考え始めた時に南雲さんの本に出合いました。

「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」

 

「いくら研究したところで,本当に世の中を良くしたいと思うのであれば,

受け入れてもらえるような環境も同時に作っていかなければならない。」

と書いてありました。

ああ,これだ。「欠けていたもの」はコレだ。

 

さらに色々と調べているうちに,堀江さんの本にも出会いまして。

「良い商品を作りさえすれば,自然とお客さんが集まってくるだろうと

本気で思い込んでいる人が意外に多いのです」と書いてありました。

「良い商品」を「研究論文」に置き換えて読みました。

研究論文を世に出した後のことを全く考えていなかった!と反省。

 

世の中をもっと良くしたいと思うのであれば,

世の中に受け入れてもらえる手段を作らないといけない。

「誰かに気づいてもらう偶然」を期待して待っていてはダメだ。

膨大な時間を費やして研究を成功させて論文にしたとしても,

知ってもらわなければ「無い」に等しい。

 

論文が出ました!と言って終わるのではなくて。

「ふ~ん,おもしろいね!」と評価をもらって終わるのではなくて。

受け入れてもらえるコンテンツに置き換えないといけない。

 

何のために研究を続けるのか。

研究の姿勢・考え方が変わった夏でした。

企画をたくさん開催しました(8月)

1.探究の技を伝授

自由研究が上手になる「探究の技」を子どもたちに伝授。

広島大学の先生・学生さんと共同で開催しました。

 

子どもたちの努力の軌跡。

 

2.子どもたちが探偵になる!@池田動物園

怪盗団が狙っている動物はいったい何なのか!?

子どもたちに探偵団の一員になってもらい,園内を調査してもらいました!

 

 

劇団夢幻月の皆様と幼児教育(1年生)の皆様にご協力して頂きました。

 

3.たまご落としコンテスト

今年で2回目。台風の影響のため23日(第1日目)は中止になりました。

30日(第2日目)は無事に開催できました!

 

春から準備を重ねて,やっとすべてを終えることができました。

あっという間に8月が過ぎ去って行きました。

子どもたちに喜んでもらえたし,研究の足掛かりも得られたので満足です。

入賞

大学院生さんと一緒に挑戦しておりましたところ,

2018年6月の大喜利のお題「雨」で入賞となりました。

子どもたちの輪の中に全力で挑戦した大人を混ぜて頂き,恐悦至極です。

今夏に出会う子どもたちとの会話のきっかけにできるので,とても嬉しい。